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本書は、江戸時代前期の1666年に出版された日本初の絵入り百科事典である。編者の中村惕斎(1629-1702)は京都の商家に生まれ、独学で朱子学者となった人物で、朱子学だけではなく幅広い分野に通じていた。自序によると、本書は、自分の子どもに、事物の名称と形状をわかりやすく教えるために編纂したとされる。約1,500の事物について、天文・地理・住居・人物・衣服・道具・動物・植物等々の17類に分け、図と名称、簡潔な解説を記す。中国や日本の事典等の先行文献を参考にしているが、中村惕斎自身が、実際に事物を見て確かめ、または、知識のある人に尋ねた上で編纂しており、学術的にも高い価値をもつと評価されている。本書の刊行後、日本では、類似の啓蒙的な絵入り事典が続出しており、本書の影響の大きさがうかがわれる。また、1690-1692年にかけて、オランダ東インド会社の医師として来日したドイツ人の博物学者ケンペル(Engelbert Kaempfer 1651-1716)著の『日本誌』には、本書の再版の図が多数使用されており、本書が18世紀のヨーロッパにおける日本理解にも役立てられたことがわかる。
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