[見立佐野の渡り] 1枚 ; 28.0×20.7cm Henri Vever旧蔵 装丁 : 和装 1765 国立国会図書館 2021-12-09 [出版者不明] 印記: v, 蓬枢閣印 Japan 堀田両平氏寄贈 false [鈴木春信] [画] 2021-12-09 用紙: 奉書 (礬砂引き) [見立佐野の渡り] 日の暮れ方、真白の雪の降りしきる中を、黒の木履(ぼっくり)に素足の若い女性が、紅の振袖を頭上にかざし吹雪を避けつつようやく橋を渡っている。この絵は『新古今和歌集』に収められた藤原定家(1162-1241)の「佐野の渡り」という和歌をテ-マにして描かれたものである。歌の主人公である藤原定家の姿を当時の若い女性にアレンジして描いてる。このような絵は「見立絵(みたてえ)」と称されている。また、これは大小暦(だいしょうれき)といわれる絵暦(えごよみ)でもある。大小暦はその年の「大の月」(30日の月)と「小の月」(29日の月)を知らせるものである。これは明和2年(1765)の大小暦である。画面右下の雪の積もった橋の側面に小さな文字でその数詞が記されている。絵の作者鈴木春信(1725?-70)は、18世紀中頃、江戸で活躍した浮世絵師で、錦絵と呼ばれる多色刷木版画草創期の第一人者である。その出自や経歴等は未詳。美しい色彩を用いて、詩情豊かに描かれた優雅で気品のある作品は、今日、国内はもとより外国の人々にも広く愛され、高い評価を得ている。 明和2 [1765] 000004061424