East Asia Digital Library

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雨請小町名歌栄 2巻

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雨請小町名歌栄 2巻
Publisherdc:publisher
URI
eadl:NDL000007275472

Abstract

  • 黒本2冊(合1冊)、題簽摩損。『青本絵外題集1』(貴重本刊行会、1974.7)、80頁に上冊分、「新板/雨請小町名哥栄(あまごひこまちめいかのさかへ) 上」、岩瀬文庫に下冊分「新板/雨請小町名哥栄(あまごひこまちめいかのさかへ) 下」あり。同じ下冊分は当館蔵『青本外題張込集』1(請求記号:寄別5-4-3-7)にもあり。いずれも西宮版の改版と推定され、原版元不明。柱題「あまこ(ご)ひ、あまごひ小町」、画作者名無記。(内容)八雲王子の謀叛に「七小町」を絡ませた享保12年(1727)竹本座初演の竹田出雲作の浄瑠璃「小野炭焼(おののすみやき)/深草瓮師(ふかくさのかわらけし)/七小町(ななこまち)」のうち「草紙洗い」「雨乞」「百夜」を用い、改変を加えて草双紙化した作品。(上)八雲王子が謀叛を企て、文屋秋津と大伴山主が早速味方申し、山主の子黒主は苦々しく思う。歌合せの席で、黒主側の山主と文屋が小町が詠んだ歌は万葉集にある古歌の嵌め句だと非難し、小町の執権五大三郎が怒り入れ筆の草紙を洗おうとする。天下一統の干魃となり、百姓共は雨乞を願い出、殿上人は旧記にも見えぬ古今の不思議と応ずる。少将は小町へ雨乞の詠歌を命ずる宣旨を伝え、心を寄せる小町は「他に言う事は」と少将に迫る。小野の後室蘭の方は小町を王子に差し上げようと約束したのでこれを見て怒る。寂寞僧都は王子に頼まれ、神泉苑の龍神を壷に封じ籠め、獣を犠牲に供え、護摩を焚き、法力を以て干魃を祈る。八雲王子は、干魃は天意に適わぬ不徳の天皇故と言い立てて追い退け、自分が位に就く企てで、僧都はこの祈祷で干魃で困る下駄屋と唐傘屋の涙以外世界中に1滴も雨は降らぬと自慢する。小野家の忠臣渦巻八郎が様子を伺う。八郎は片肌脱いでこの場に躍り入り「小町様への良い土産」と壷を奪う。寂寞僧都は魔法を以て逃げ行き、八雲王子も逃げる。寂寞僧都は干魃の行場を渦巻八郎に踏み破られ、せめて深草少将の館から八重垣の太刀を奪い王子に奉ろうと、夜忍び入る。(下)少将は立ち出、わざと贋物を盗ませたのだと三郎に言う。手下を切られ、寂寞僧都は逃げ行く。少将が勅使に立ち、小野小町が神泉苑に17日祈誓を籠めた和歌を奉じると、竜神河伯の感応か霊雲が一天四海を覆い尽くし、雲は墨を流すが如く、車軸を流す雨に草木国土潤い庶民喜ぶ。渦巻八郎は躍り上がって喜ぶ。小野の後室蘭の方は継姫小町を憎んで御所車に縛し、添いたくば百夜の間怠りなく通えと少将に難題を言う。少将は小町に心中立てし、後室の言葉を守って雨の夜も風の夜も通う。大和の七郎御供。大伴の黒主は深編笠を被って様子を窺う。文屋秋津は小町を奪おうと取り巻いて少将へ鉄砲を向けさせる。少将は小町を囲い擬勢する。黒主は後室を刺殺し、小町とは異腹の弟と明かす。大伴山主は小町を奪って王子に奉ろうと車の内に忍んでいたが、養子黒主の心底を感じ、一念発起して出離する。(難読箇所、岩瀨文庫本で補う)寂寞が魔法を使って団扇を投げると虎となり少将に食い付こうと飛び掛かるのを、大和七郎が立ち向かって難なく虎を組み伏せる。文屋秋津は渦巻八郎に討たれる。五大三郎は八雲王子を組み伏せる。深草の少将は八雲八重垣の剱の徳で寂寞の法力を破る。素戔嗚尊が大蛇を退治た名剣八雲八重垣、妻籠めの妻は名に負う小町姫、常盤の緑末永く治まる御代ぞ目出度き。(木村八重子)(2018.1)(2020.9最終更新)(紹介)「『小野小町今様姿』について」(高橋則子、叢第13号、平成2年7月)の四、解説 イ、「黒本『雨請小町名歌栄』について」に当館本の影印・翻刻があり、享保12年(1727)4月竹本座初演の竹田出雲作の浄瑠璃「小野炭焼/深草土器師/七小町」を簡略化し若干の改変を加えた草双紙である、と解説している。「赤本・黒本・青本解題集稿」(二)(高橋則子、叢第22号、平成12年6月)

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