團扇合美人揃
- 窪俊満画の狂歌物合。『東都名所煙草入合』と合綴、半紙本合1冊。『団扇美人揃』は、寛政9年(1797)刊か。元外題は「狂歌 団扇合美人揃」。墨摺。共表紙に「案 各連中/細 尚左堂俊満/工 勝東橋」、また識語に「浅草観音地内天神開帳/奉納寛政九年」とある。狂歌題は、「四季官女」「やつし六玉川」「青楼十二時」「やつしあふみ八景」。各番の勝ちの狂歌のみ掲げ、半丁ごとの上部に狂歌三首、その下に図を置く。最終丁裏に一榎菴笛成、正木桂長清、尚左堂俊満の狂歌を載せるので、狂歌は、当該3人によるものであろう。各図は、美人を交えた縦長の暖簾形である。題名に「団扇合」とあるように、狂歌師が持ち寄ったのは団扇型の図案であったと思われるが、それを俊満、東橋が暖簾形に焼き直したものか。俊満の狂歌「それ/\に団扇をかけてあふくゆへ狂歌のれんと人やみるらん」は、「の連」に「暖簾」を言い掛け、その間の事情をそれとなくのぞかせる。『東都名所煙草入合』は、元外題「全図狂哥入 東都名所煙草入合」。墨摺。共表紙に「各案 泉橋狂歌連中」「画 東籬園響/細工 竹馬亭」とあり、識語に「寛政八年」(1796)と記す。名所は湯島、正灯寺、日本堤など、計18箇所。体裁は「団扇合美人揃」に同じで、題名に「煙草入」とあるが、図はすべて縦長の暖簾形もしくは幟形。図案の中には「虎屋」など、商家の屋号を標記するものも散見される。ごく珍本であるが、天理図書館に一本の伝存が確認される。(鈴木淳)(2016.2)