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江戸時代の歌舞伎俳優二代目市川団十郎(1688-1758)が、1730年に父初代市川団十郎(1660-1704)の二十七回忌のために刊行した追善句集(俳諧をまとめて編んだ書物)である。『父恩』という書名には、若くして父を失った二代目団十郎の、父への孝養を常に忘れることがないようにという思いが込められている。
挿絵70図のうち66図は墨刷で、画家英一蝶(1652-1724)の弟子英一蜂(1691-1760)が描く。最後の挿絵4図は、初代団十郎が春夏秋冬を詠んだ四季の句に合わせて、漆芸家、画家としても活躍した小川破笠(1663-1747)が描いている。この部分は手彩色と版彩色を併用しており、日本における彩色刷版本の最初期の作例として注目される。また、上巻から下巻にかけて、当時の物故俳優65人の俗名、戒名、没年月日、菩提寺などを記しており、演劇資料としても貴重である。
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